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30代会社員による雑記兼アウトプット修行

鶴崎修功『カジュアルな算数・数学の話』で算数・数学を振り返る

何を思ったかふと中学数学の問題を解いてみたら、半分ほどしか解くことができなかった。
そこでようやく、自分が思っている以上に算数・数学を忘れていることを自覚した。


軽くでいいからさらい直そう。とはいえ何から手をつけていいのかわからない。
やっぱり算数ドリル?と思ったけれど、ドリルを買ったところで解き方がわからなければ意味がない。解答を読んだら思い出せるのかもしれないけど、それはドリルの意味があるのか?教科書でやることじゃないか?
と色々考えあぐね、まーたQuizKnockメンバーにたどり着いた。


鶴崎修功『カジュアルな算数・数学の話』。鶴ちゃんが2021年に書いた初めての著書だそう。


好きな人の本とはいえ、自分が苦手だという意識がある分野の本なので、読破には時間がかかった。せっかくのさらい直しだからできる限り理解もしたいしね。
書いてあることを自分なりに咀嚼したり、手を動かしてみたりも踏まえて約1週間くらいで読了。
100%理解できたか?と問われると正直自信はないけれど、「ざっくり思い起こしができた!」とは胸を張って言える気がします。
感動にも似た何かを覚えたので、さっそくブログを書いてみる。

簡単に言うと「義務教育期間の算数・数学をざっくり解説している本」

Amazonレビューにもある通り、練習問題のような部分は他の参考書に譲っており、あくまで「こういう風に考えてみよう」という解説に重きを置いている。教科書から練習問題を除いたようなイメージ。
ただ、教科書と大きく違うのはその章立て。教科書は「1学年における単元ごと」に記載されているけれど、この本は「算数・数学における分野ごと」に区切って展開されている。
だからこそ、小学校で習ったあの内容が中学校のこの内容で活きてくる…というのを一気通貫で読み取ることができる。

学年で区切らないこの本のような内容は、「小学生の私自身が読みたかった本」でもあるんです。


この本を開いて早々に出てくる著者の言葉。
小学生の鶴ちゃんは、今学んでいることがどう広がっていくのか気になって仕方なかったのかもしれない。そんな思いを大人になっても忘れず、こうして形にすることができている。かっこいいね~。


学校で教わらなかったこと

読んでいるうちに何度か思ったのが、「こんなの先生教えてくれなかったなぁ」ということ。
そしてそれらは「言われてみれば!」「なるほど!」「だからか!」とハッとさせられるものだったりする。


例えば、この本の冒頭に出てくる小数と分数の話。
私のこれらに対する認識は「自然数じゃないやつ」「小数桁考慮がめんどくさいから分数のが楽」。
一方この本では、その2つについてこのように言及されている。

小数は近似には向いている一方で、計算にはあまり向いていません。

分数ではどんな割り算でもできるので、近似にはやや不向きだけれども、正確な計算に向いているんです。

ああ、そういうことか!
確かに分数にできない割り算はない。一方小数には1/3=0.3333...のように割り切れないものが存在する。代わりに、小数は自然数に近い…イメージしやすい形で表現することができる。
言われてみれば当たり前だけど、小数と分数はそうやって使い分ければいいのか。そしてこんなに端的に言語化することができるんだ。
これは私にとっては結構衝撃だった一節。


グラフに関する章ではこんな記述もありました。

(英語では「チャート」と表されるので、関数のグラフとそれ以外は、区別されています)

なるほど確かに、日本語って座標平面も棒グラフも円グラフも散布図も全部「グラフ」って言うよなあ。
でも座標平面はxとyの関係性を示すことが目的で、一方棒グラフや円グラフの目的は与えられたデータを示すこと。区別されてもなんら不思議ではない。


数学が得意な人からしてみれば「何を当たり前のことに驚いているのか」と思われるのかもしれない。だけど共感してくれる人もきっといるはず。
こういうものだと割り切っておざなりにしていた部分を少しクリアにしてもらうことができた。


「モンティ・ホール問題」をようやく理解…した?

かの有名なモンティ・ホール問題
いくつか解説を読んだりもしたけれどまったく理解することができませんでした。
www.youtube.com
(5:22ぐらいからモンティ・ホール問題の話)
(ちなみに動画中「3個だったら不思議」「100個にしたら不思議じゃない」と言われていますが100個にしても全く理解できなかった)


この本に確率の章があることを確認したときからちょっと期待していたのだけど、鶴崎修功という男、しっかり回収してくれました。モンティ・ホール問題の解説をしてくれていたわけですね。
しかも私のようなバカうっかりさん向けに、懇切丁寧に。
要は「場合の数」をしっかり数えてみようという至極単純な話だったわけですが、ずっとわからなかったことに納得出来たような気がするので、ちょっとすっきり。でも、正直まだ自信はない。

この本とは関係がないけれど、このくだりを読んだ直後にネットでも良い解説がないかと調べたらこの知恵袋がシンプルでよかった。
detail.chiebukuro.yahoo.co.jp
特に2020/7/20の回答にある、グルーピングするとわかりやすいよという表現。確かに。


鶴ちゃんのユーモア

割合の問題を考えた後には

したがって100円引きで売られていることがわかりましたが、これが「お得!」かどうかは、みなさんのお財布しだいですね。

かわいい。

図形の話をしていれば

チャーハンと半チャーハンは相似。

いや、んなこと考えたことねえよ。おもれー男だな。


「理解」は世界の解像度を上げる

とにかくこの本を通じてずっと考えていたのは、世界の見え方が私とは全然違うなあということ。何を東大王と比べてんだ。
さっき「学校で教わらなかったこと」に書いたようなことは、もしかしたら鶴ちゃん自身も学校では教わったことがないのかもしれない。でも彼は算数・数学をきちんと理解している。自分の中で咀嚼できているからこそ、こうして言語化することができる。

これは算数・数学に限ったことではないけれど、やはり「理解」は世界の解像度を上げる。
私が気にも留めていないような数字の羅列や図形の並びを見て、誰かは意味を見出すかもしれない。ラマヌジャンがタクシーのナンバープレートに意味を見出したように。それはつまり、私にはできない世界の楽しみ方を他の誰かは知っている可能性があるということ。
そう思うと、やっぱり知識・理解というのは紛れもなく財産のひとつだなあと痛感する。


さて、算数・数学から少し話は逸れてしまったけれどこの本の感想としてはこんなところかな。
本来の目的である大まかな算数・数学の振り返りとしても満足だし、世界の見つめ方についても改めて考えさせられた大満足の一冊。
鶴ちゃんの2冊目である『文系でも思わずハマる数学沼』も購入済なのでこちらも開くのが楽しみ。
とはいえ、慣れないことをしてちょっと疲れたから、間は置こうかな。


「数学、暗記やで」

私は昔から算数も数学も得意ではなかった。
高校受験のときは塾の先生と作戦会議をして、「お前は国英社で満点を狙え、そうすれば数学は70で足りる」と言われたほど。笑

そんな私だけど、大学受験の際は世界史ではなく数1Aを受験科目に採用した。それは高校1年生の時に出逢った恩師に言われた「数学、暗記やで」の一言がきっかけである。
今は共通テストになって色々と形式も変わっているけれど、当時のセンター試験は確かにパターンさえ抑えていれば十分な点数が狙えるものだった。

高校1年生の夏に数学のテストで下から20番を取った私は、センター試験本番で96点を取った。

そこまでスイッチを入れてくれた「数学、暗記やで」という一言。
これはつい先ほどまで話していた「算数・数学を理解する」ということからはやや離れている。「こういうものだ」と覚えるだけなので、その本質を知ろうとする必要はそこにないからだ。
でも、当時自分の数学力に絶望していた私にとっては間違いなく救いの言葉だった。気持ちも楽になったし、結果も出た。
丸暗記で数学をしてきたがゆえに苦しんでいる大学生も居るようだが、「暗記すれば点が取れる」と心が軽くなるのなら、それは一概に悪いことではないと思う。あえて明言しておく。